こんにちは。臼田です。
入社して4年目となりました。今までも林業の課題や活動の報告をしてきましたが、今回改めて整理したいと思います。
林業の課題は調べればキリがないほどたくさん出てきます。手入れが遅れている山林、所有者不明の山林、労働人口の減少、獣害の温床、木材価格の低迷などなど立場や視点によって様々です。最近でも花粉症対策のために伐採を推奨するようですね。
山の価値を高める
林業会社として利益の追求をしなければなりません。林業はどの事業体でも収入のほとんどを助成金に頼っており、助成金なしでは成り立たない業種です。助成金を必要としない事業体は木をたくさん切ることによって収入を得ていますが、切った後の50年後にまた木材を収穫するためには助成金に頼らざるを得ません。
助成金から脱却するために何をすればいいのか日々試行錯誤しています。弊社が管理しているHIBA RINGsもその一環です。木材の価値を高め、その収益を山へ還元できるようにしたいと思っています。また杉や檜の人工林だけでなく、広葉樹も商品化したいと考えています。商品として利用するために植えられ、育ててきた杉や檜はもちろん価値の高い木材ですが、日本の豊かな自然は多様な木々を育んでいます。それらの樹木を目的を持って切り出して使うことができればより山の価値を広く利用できるのではないかと思います。
現在では広葉樹は製材を行える製材所が限られたり、乾燥の段階での歪みがひどく、歩留まりが悪いなど課題はありますが、様々な樹種の価値を引き出していきたいと思っています。
山から木を切り出すことを目的とせずに何に使うか目的をはっきりとさせた施業や山づくりを行うことがその山の価値を高めていくこととなるのではないでしょうか。
自然から学ぶ
弊社のビジョンに環境保全というワードを使うかどうか議論したことがあります。林業はあくまで木材を商品として流通に乗せることが主目的です。そのために何十年単位で地道に木々を育てていきます。最終過程の伐る作業は大型重機などで機械化が進んでいますが、植えてから何十年と言う管理はまだまだ人の手で行います。
日頃木々と触れ合っているとその生命力にいつも驚かされます。切り倒して玉切りしている幹から若葉が茂ることもしばしば目にします。そのような雄大な存在は我々が名目上管理しているように見えて、やはり実のところは自然の寛大さを一部享受させてもらっているのだと感じています。
環境保全ではなく環境共生なのではないか。自然の循環の中でそのサイクルをできるだけ損なわずに林業という生業を成り立たせるために日々自然から学んでいく姿勢が大事だと思っています。
地域と共に
弊社の道づくりの師匠はブランド材の奈良の吉野で山づくりを企業として取り組んでいた方です。価値のある山を作って後世に残していきたいです。と師匠に話しているとポツンと仰られたのが、「山を繋ぐには、人を繋がにゃあかん。」という言葉でした。
どんなにいい山、どんなにいい道を作ってもその思いを継いだ人が育たなかったら100年、200年の山は作れない。人を繋いでいくことがゆくゆく山を繋いでいくことになる。
ではその人はどこにいるのか。それはやはり里山にいる人々だと思います。実際に山に携われるのは山と暮らす人たちです。
代表の田村が人と山との距離が離れてしまっていると常々話していますが、まさにそれが一番の課題です。日本の象徴である山々と人との距離が離れていることは何よりも問題だと思います。そして里山に暮らす人ですら、山との関わりが薄れていっています。山と関わっていく中で、地域と山とを繋ぐ役割はこれからさらに重要だと思います。
また自分たちの活動を発信していくことで身近に里山がない人たちにも山という存在とそこに携わる人々がいることを知ってもらえると思います。ちょっとでも山へ足を運んでもらえたり、木製の製品を手にとってもらえるようになれたら嬉しいです。
まとめ
サイトのリニューアルに伴い、メンバー全員でブログ記事を書きました。私に託されたテーマは「文化を築く」と言うものです。大それたタイトルですが、自分たちが活動していることって端的に表現するとどんな言葉になるのだろう?と悶々としていた時に弊社の兄弟子から発せられた言葉です。「文化を築く」この言葉を聞いて腑に落ちました。
師匠の思いを繋いでいくことや地域としての会社のあり方、SDGsが叫ばれる中での自然と林業家の関わり合い、何より自分たちが目指す山づくりを日々試行錯誤していくことが「文化を築く」と言ううことなのではないかと思います。
これからも山と関わり、自然と関わり、多くの人と関わって山づくりをより発展させていこうと思います。
それではまた。臼田でした。